味覚障害についての当院の治療方針

川合耳鼻咽喉科 ver.060416

味覚、いわゆるおいしさについての話は世の中にあふれている一方で、味覚障害についてわかっていることは意外に少ないのが現状です。以下は当院での治療方針について、兵庫医科大の研究成果を元に院長なりにまとめたものです。

味覚障害者の傾向

1.味覚障害は中高年に多い
年齢を重ねるほど多くみられるようで、若年者には少なく、50才代から70才台にかけて多くみられるようです。

2.女性に多い
味覚障害外来受診者の3分の2は女性、3分の1が男性です。味がわからなくなると食事を作るときに支障がある、このために女性の受診者が多いという面も多少あると思います。

3.味覚障害者には亜鉛欠乏症が多い
亜鉛は体内に存在する微量元素のひとつですがこれが欠乏すると味覚障害が起きることが知られています。

4.口腔内乾燥が味覚異常に関連する
唾液の分泌が悪くなると、味覚が落ちることが知られています。

治療法

1.亜鉛の補充
【食品から摂る】
貝類・海草類(とくにカキ)などに多く含まれることがわかっています。普通に食事していれば充分という考えもありますが、まずはおすすめしています。
【薬で摂る】
胃潰瘍の薬で亜鉛の含まれている薬があり、これを処方しています。

2.唾液分泌をよくする
【水を多く飲む】
水を飲む量が少ないと唾液の出が悪くなりますし、血液がどろどろになって血管が詰まりやすくなるなど良いことがありません。トイレに行く回数が増えて面倒、そうおっしゃらずに水は多めにこまめに摂ることが大事です。
【薬を使う】
唾液分泌量を測定して少ない方には、唾液分泌を良くする薬を使うこともあります。

3.抗不安剤を使う
よく効く患者さまもいらっしゃいます。

4.モズク酢?療法
モズク酢を1日3パック、毎食事ごとに6週間食べてもらったところ、約6割の患者で改善をみたとの研究成果があります。資金難のため研究途中で休止中とのことで、信用してよいかはまだ不明です。副作用はないと思いますので、試してみても良いかもしれません。